「魚道」

 興味が無い人は、まったく気にしないでしょう。
 そもそも興味って、どんな興味?(笑)
 それはさておき、近所にあった魚道を紹介します。
 (細かい技術的な事は解りません)

 河川において、取水目的で堰を設けたりする場合や、そもそも縦断勾配が急なため縦浸食を防止するために落差工(帯工なども含む)を入れると、そこは魚類等の水生生物にとって遮断ポイントとなります。

 そんな問題を解消するために、「魚道」があります。
 整備するにはプラスアルファのコストがかかります。
 しかし、自然を守るということで、たいていの場合、整備されているでしょう。
 (近年、整備した構造物の場合)

 そんな魚道ですが、いろいろなタイプがあります。
 昔は階段斜路が多かったですが、機械的?見た目が養殖場?みたいなので、景観性や機能性も含めて
様々な形状が整備されています。

 細かな技術的な説明はできませんので、写真で事例をご覧ください。
 いずれも、私の近所?(チャリで30分くらい)での事例です。
 それも、二級河川クラスである築堤河川の下流域での事例です。
 (上流と比較して縦断勾配が緩い=落差は小さい傾向になる)

 <牛滝川>

 岸和田市と忠岡町、泉大津市を分ける河川です。
 まず見つけたのが、全断面階段もどきで、一部スリットをチドリに入れたタイプ。
 流量が少ないとスリット部をクランク状に水が流れます。
 全断面のような局所タイプのような。
 複合的なタイプでしょうか。

 下流の床固ブロックが浮いているのでダメじゃんって思います?
 でも、床固ブロックの下をくぐって登れるんです。
 洗堀が進んでいるんですね。
 でも、洗堀を遅らせる、抑える目的の床固ブロックですから、これで良いのです。
 柔構造として浸食に追随しつつも形状の多様性も演出している感じ。
 床固ブロックが無かったとしたら、落差の直下で洗堀が進行し、落差工が破損しています。
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 次に見つけたのが斜路タイプと局所斜路(石張り)もどきです。
 拡大写真を見て下さい。
 奥側に斜路(遡上流路)。
 そして、斜路の手前に扇状地のような形状で石張り局所斜路を腹付けしています。
 カニやハゼみたいなのが登れるように工夫しています。
 よおく見ると、石の張り方も工夫されていますよ。
 片岸に集中するタイプです。
 比較的に初期のタイプではなかろうかと思います。
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<大津川>

 忠岡町と泉大津市を分け、上流は概ね和泉市~泉大津市内を抜けています。

 最初に見つけたのが、アーチ形状の階段タイプです。
 全断面タイプです。
 階段部のひとつひとつがアーチになっており、真ん中が低くなります。
 そう、流量によって水の流れる範囲が変化するのです。
 これも工夫のひとつでしょう。
 ひとつひとつの落差の下は深くなっています。
 これまた工夫ですよね。
 魚類などが休憩できる領域があるということです。
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 最後になります。 
 私の好きなタイプ。
 全断面斜路なのですが、石を利用して細かい階段状にしている。
 流れが石に当たり変化し、流れに緩急を演出しているのです。
 小さな魚類なども、登って行けます。
 全断面なので、遡上する対象が引っ掛かることも無いです。
 (魚道が無い部分で突き当たって滞留することが無い)
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 どうです?
 こんな工夫、しているんです。
 土木畑の人は知っているでしょうから、私が伝えたいのは、そうでは無い畑の人です。
 こんなことしてんだね。って感じてもらえれば幸いです。
 (地方自治体などが整備してくれています)

 ちなみに、私は、出来ているモノを観て楽しんでいるだけです(笑)
 しかし、牛滝川と大津川の下流域に、こんなにたくさんの魚道があるとは思いませんでした。
 サイクリングで通らなければ、知ることは無かったです。


 参考までに、砂防の渓流保全工で見つけた全断面魚道の記事もみてくださいね。
【関連記事(砂防落差工の全断面魚道)】
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落差工に傾斜流路加工して全断面魚道のような現場発見(石張りで遡上し易い加工もあり)