「近所で見つけた調整池」
 しかも公園となじみ切って同化した調整池。


■調整池って?

 「調整池」って知ってますか?

 宅地開発などによって流出係数が高くなってしまったエリアの雨水流出抑制や、慢性的な冠水地域の改善対策に用いられます。

 基本的には、集中的に降り注いで内水氾濫を引き起こしそうな雨量を一旦引き受けて、雨脚が弱くなったり収まったりした後に遅れて排水する機構を有しています。
 いわゆるピークカットです。

 その構造や規模によって様々な調整池があります。

 例えば、大規模な調整池として例示すると、「花園ラグビー場」があるエリア、
あれば全部調整池(地)です。
 大出水があったら、あのグラウンド一帯は池になります。
 知らない人、結構いるのではないでしょうか?
 私は、一度、見学に行きました。
 土提や樋門、水門など、いろいろありました。
 河川砂防技術者は、必ず見学すべきエリアです。
 え?まだ行ってないって?
 そりゃモグリだ。
 (冗談ですよ)

■見つけた調整池(高石市 取石公園の脇)

 さて見つけた調整池ですが、以下の写真です。
 右側が取石公園で、子供たちが遊びまわっています。
 立地的には、ここも取石公園の範囲内と思います。

 夏にはトンボやカエルなんか捕まえられそうですね。
 一見、調整池とは思えません。
 親水公園?って思いそうです。
 事実として親水公園でもあるのでしょうけれども。
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 この調節池の構造ですが、次の写真が流入口です。
 いわゆる越流堰。
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 この越流堰の向こう側が水路になっています。
 暗渠になっています。転落すると危ないですからね。
 解りにくいので、オープンになっている上流側を撮影しました。
 次の写真です。
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 この水路が、一定の水位を越えると、越流堰からオーバーフローして調整池に水が流入します。
 いわゆるピークカット状態です。
 これ以上の水位(流量)上昇を一旦、抑えます。

 ただ、調整池も溜めるばっかりではスグに満杯になってしまいます。
 もちろん、溜めっぱなしにして、後から排水する調整池もあります。
 この取石公園の調整池は、オリフィス桝で排水する機構になっています。

 下の写真です。
 穴がオリフィスの穴です。
 水位が低い時は水圧が低いので通水量は少ないのですが、水位が上昇すると水圧が上がって通水量が増加します。
 この穴の調整は、流水の動きを示すハイドログラフなんかで調整します。
 この穴の大きさ次第で、働き具合が変わります。

 私が過去に設計した調整池では、ゲート開度で調整するようにしていましたね。
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 ちなにみ、とんでもない降雨の場合、さすがに調整池も一杯になるリスクがあります。
 その時は、上のフェンスがある処からオーバーフローして調整池自体の破堤や破壊を防止します。
 ここまで来るのは、よっぽどでしょう。

 オリフィス桝の下流は、次の写真のようになっており、その先は元の水路に繋がっています。
 まさにピークカットするための調整池ですね。
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 ちなにみ、最近流行の地下河川は、もっと長い区間をバイパスして内水氾濫を防止する対策方法です。
 住宅開発が進み、河川や水路の拡大が出来なくなっていますので、地下バイパスしか方法が無い場合が多くなっているのです。
 併せて、推進工法やシールド工法の発展も後押ししていると考えられます。

 あと、堤体の部分で見つけたのですがマンホールです。
 電気設備がある可能性があります。
 もしかしたら、強制排水用のポンプとかもあるかも知れませんね。
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 豪雨が連続で来る場合、いわゆる二子山豪雨。
 早く水を抜きたいので、ポンプ排水を併用する場合があります。
 もしかしたら、そのポンプが隠れているかも、です。


 どうですか?
 身近な所にも、防災ハード対策って隠れていますね。
 隠しては無いのでしょうけれども、見事に隠れ切ってます。
 素晴らしい。


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