「ボーリング調査の現場管理」

 永遠のテーマです。
 だいぶ前も殴り書きで記事出しましたが、解りにくい内容でしたので、
 今回は事例も示しつつ、解り易いように噛み砕いてまとめました。

★「協力会社」と書くのが良いのでしょうが内容を解り易くするため「下請け」と記載します。
 「孫請け」を「孫協力会社」と書くのも変なので。
 一般の人にも解り易いように「下請け」で書きます。


■ボーリング調査の外注実態と管理面の問題

 建設コンサルタント会社においては、ボーリング調査班を持っている会社は少ないです。
 基本的には外注です。

 外注の仕方も大きく2通りあります。
  ・現場調査作業だけ外注して、試料(コア等)や日報等の最低限だけ依頼する。
  ・地質調査報告書まで依頼する。
 こんな感じでしょうね。
 発注者に、ちゃんと下請け申請してやっているのが普通です。


 私が過去に在籍した会社では、上記の2通り、それぞれ経験しました。
 つまり、両方の外注スタイルを知っています。

 問題となり易いのは、地質調査報告書まで依頼する丸投げの方です。
 もう一方の最低限だけの場合、結構シビアに調整しつつやるのです。
 ですが、丸投げだと、ヒドイ場合、検尺まで下請けにやらせます。
 普通、コア等を見て、本当に掘り止めて良いか自分の目で判断します。
 それすらしない人が居るのです。
 事実として。

 【検尺】所定の深度に達した後、発注者の立ち合いのもと、本当に掘れているか深度を確認すること。
    尺を確認するということです。
    もちろん、調査目的を満たしているという条件のうえです。

 ☆丸投げの場合、調査報告書の中身の品質問題もあるが、ここでは論じない。
 ☆業界全体の話ではなく一部の担当者レベルの話であることに留意してください。

 正直、私個人としては、検尺まで下請けに任せるって、信じられないです。
 技術の仕事ですから。
 そこはちゃんとしないと、と思います。
 私は、出来るだけ(可能なら全て)検尺に行け!と指導していましたよ。

 そこまでなら、まだ許せますが、もっと酷いと現場にすら行かないってのもあります。
 現場で作業している状況を確認しない。
 節目の仮設、搬入、移設、撤去、後始末などの確認もしないなんてことも。
 地質調査会社に勤務経験があるので、私には信じがたい中身でもあります。


■事例を用いて現場管理の重要性を説く

 例えば、下の写真の現場は、昔、私が関係した地質調査の現場です。
 保育園の真横ですので、いろいろと懸念材料がありました。
 こんな条件ですので、当然、現場に行くことが頻繁になる、あるいは一時的に常駐します。
 そうしないと、怖いですよ?
 丸投げ放置が出来る人の精神力?には関心します。
IMG_3535
 どんなことが懸念される?
 保育園と、実は、その反対はビジネスホテルでした。
 ざっと挙げると。

 ・騒音
 ・車両の出入り
 ・エンジンの排気ガス
 ・作業に伴う粉塵
 
 まぁ、普通の事です。
 どこの現場に行ってもついて回ることです。

 が、保育園とビジネスホテルです。
 ビジネスホテルは昼間は問題無いでしょう。
 一応、挨拶して作業内容や上記を説明して対策も講じることを説明します。
 これで、ほぼ問題ありません。

 問題は保育園。
 ボーリング調査作業する昼間こそメインの時間帯。
 菓子折り持ってあいさつに行き、状況をヒアリングしました。
 ボーリング調査しているスマホ動画を見せて、標準貫入試験の時の音がうるさいのを知ってもらいます。
 また、ほぼ常時エンジンが回っていることも。

 そのうえで、保育園側からの要望を聞きました。
 要望は、

  ・〇時~〇時は登園者がピークなので出入りは避けて欲しい。
   (前の道路が混雑している時間帯)
  ・〇時~〇時は小さい子供たちはお昼寝タイムなので静かにして欲しい。
  ・〇時~〇時はお昼ご飯なので、静かにして欲しい。
  ・常時、可能な限り静かにして欲しい。
  ・排気ガスがなるべく来ないようにして欲しい。
  
 至って、普通の要望です。
 保育園なので、当然の内容ばかりです。
 これを丸投げしていると、放置して現場やっちゃうことがあります。
 そしたら。。。。
 大クレームでしょ?!普通。
 それでも、やっちゃうんですよね。信じられんですが現場管理まで丸投げを。
 
 それはさておき、上記の要望を下請け会社と折衝して調整しました。
 下請けだって、フルタイム作業してさっさと終わらせて帰りたい。
 時間かければかけるほど利益が減るんですから。

 そこをなんとか折衝して、調整し、現場と下請け会社がうまく動くようにする。
 それが元請けの重要な仕事でもあるのです。
 実のところ、下請けの地質調査会社から、個人事業主オペレーターに孫請けが行っているのが普通です。
 ですので、話は更にややこしくなる。
 現場丸投げなんてすると、とんでもないことになるんです。

 そんなこんな、リスクがたくさん潜んでいるボーリング調査現場に行かないなんて、私には信じられません。
 ちゃんと行って、確認して、問題があれば指導する。
 大切なことです。
IMG_3536

 この時は、防音シート対策や、エンジンの向きなどを話し合って決めました。
 時間帯ルールも了承してもらい、休憩時間を前述の静かにして欲しい時間に合わせました。

 そういった努力により、最終的にボーリング調査作業を園児たちと見学してもらい喜んでもらいました。
 なんだか知らないですが「頑張って~!」って応援されていましたね(笑)
 上の写真が、そのひとコマです。
 子供たちがフェンス越しに応援してくれています。

 こうやって、現場が丸く収まって終わっていくのは、それに応じた努力や苦労があるという事です。
 その辺を、若い人やキャリアの少ない人に説くのですが、解ってくれませんでしたね。
 現場に行くのを遊んでいるとまで言う者まで居ますから。
 笑止千万ですね。

 もう、今は、ボーリング調査現場に直接かかわる身では無いですが、まだスキルは残っていますので、何かあればご相談ください。
 って、普通はそんな要望は無いか(笑)


【以前の同種記事(ボーリング調査現場での管理臨場の重要性,設計業務も同じこと)】
 >>>ボーリング調査現場での管理臨場の重要性(安全でミスない調査のために)設計業務も同じこと 

  ↑ ↑ ↑
 今回の記事は、
 上記の以前の記事のうち、ボーリング調査現場の管理について大幅ブラッシュアップしたものです。
 併せて書いていた設計業務の現場確認の重要性については、また今度、詳しく書きたいと存じます。