「学ぶ」

 それは、そこら辺にいくらでも転がっている。
 要は、それに気づくか、気づかないか。
 ただ、それだけ。

 今回は、
 ハーベストの丘で、盛土法面の対策を見つけましたので紹介します。

 こういった場所で、様々な対策を見つけてみることは良い経験となります。
 まるで、対策工の展示場のようなイメージです。

 今回見つけたのは、盛土法面の対策工です。

 「プラスチック法枠工」
 「かご工」

 です。

■プラスチック法枠工

 プラスチック法枠工は、抑止力はほぼ無い構造です。
 表面の覆土や法面表層部の浸食防止等を目的とします。
 盛土ですので、基本、安定勾配(標準勾配)で施工されます。
 この現場の場合ですと、恐らく1:1.5~1:1.8で施工されているはずです。

 このように安定勾配で盛土造成したとしても、表面を流れる雨水等によって表層浸食が起こり、ひいては盛土流出のような事態に発展するリスクがあります。

 よって、表層部(表面部)を面的に押さえ込んでいるのです。
 しかし、実のところ、このプラスチック法枠単体では、上記の浸食に耐えられません。
 水は隙間に入り、隙間を伝って流れ、確実に浸食していきます。

 ですので、植生工で被覆するのです。
 もちろん、植生工単独で法面保護できればそれで良いのです。
 ですが、植生の活着度合いや、活着するまで時間を要する場合はプラスチック法枠等を併用するのです。
 特に、この現場では小段排水が無いように思います。
 よって、法面表層を流れる雨水の量が多いと推察されます。
 このような背景から、プラスチック法枠を植生基盤工として採用したのではないかと考えられます。

 これら植生基盤工が機能することによって、盛土法面が恒久的に安定するのです。
 極論、植生工が確実に活着した後は、プラスチック法枠は無くても法面表層は安定するはずです。

 このように、施工に伴う時間軸も考えつつ対策工を選定することが重要となります。
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 プラスチック法枠ですね。
 盛土法面に採用される緑化基盤工として採用されたと推察されます。 
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 恐らく、「プラドレーナ―」だと思います。
 丁寧に施工されているので、緑化もしっかりしています。

■かご工

 かご工は、地下水等の浸みだしや湧水箇所に設けると効果的です。
 また、簡易的な土留め構造体としても期待できます。

 この現場の場合、写真で見える上段側と、道路脇の下段側の2段が認められます。
 いずれも法尻に縦断方向に設置しています。
 高さは地上で2段がみえています。
 もう1段、地中にあるか、無いかの断面規模と思われます。
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 恐らくですが、小段排水が無いので、雨水等が局所的に浸みだしたり、湧水となって現れたものと推察されます。
 もしかしたら、それによって小規模な土砂流出も生じたかも知れません。
 それ以外の箇所は、恐らく浸透して地表には出てこないのだと思われます。
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 湧水や浸みだしを放置するとパイピングを生じて盛土流出に波及します。
 早い段階で、かご工で押さえ、湧水等のみ排出するように対策したと考えられます。
 細粒分の流出が生じないようにフィルターを適切に設置することが肝要です。
 
 いずれの工法も、現場の状況も、「道路土工 盛土工指針」や、「道路土工 切土工・斜面安定工指針」 において説明されている通りの施工となっています。
 教科書的な展示場?ですね。 

 どうです?
 どんな場所にも、学びはあるものです。  
 ちょっとの向上心を持てば良いだけです。
 そう、私は自分に言い聞かせています。  
 言い聞かせないと、サボるので(笑)