落石対策設計って、自然の斜面で、そこらへんに転がっている石が落ちてくるのを対策するっていう物理の法則に抗うことをするのですが、結構ファジーで大変です。
ファンタジーじゃないよ?
さて、皆さんの周りで、
落石対策工なんて簡単だよ!
って言っている技術屋さんが居たとしたら、それは事務設計屋ですね。
事務設計屋って?
モビルスーツのジムではないですよ?
事務的に、設計する人。です。
要するに、現場の不確定要素や不確実性、そんなものは基準書の示したとおり設計してれば許されるんだよ。あるいは誰にもわかりゃしない(あるいは本人も解っていない)んだよ。
という人。
しかし、落石対策検討に真剣に取り組むと、本当にコレでええんかいな?
と思うときもあります。
基準は基準ですので、その通りやれば良いのですが。。。。。
さて、本題の押さえておくべきポイントを示します。
でも、基準書に載っているので、大した話ではないです。
「落石対策便覧 平成29年12月 公益社団法人日本道路協会」
1.落石調査
落石調査、簡単なようで難しい。
平面図がいいのがあると楽なのですが、結構上方斜面へ行くときは図面が無かったりします。
いまは航空レーザー測量図があったりするので楽になりましたが。
それでも、樹木等の影響、急勾配、急崖部が正確には出てない等の問題があります。
これらの問題を踏まえて、「位置」を確実に押さえることが重要です。
最近はカメラにGPS入っているのでそれを100%信じて行動すると異常個所を示されるとOUTです。なので、自分の目でも押さえて、GPSでも押さえて、両方を突き合わせましょう。
あとは、適切な不安定岩塊等のサイズの把握です。
大きさ(質量)が落石エネルギーに直結しますので、慎重に!
可能ならスプレーで番号書いたりして後に解るようにしましょう。
(民地の場合は、ちょっと気を付けてね。トラブルの種になります。)
2.落石エネルギーの算定
落下高max40mとしてエネルギー算定するのは基準に書かれています。
40mを超えると、落石は加速しなくなるという実験?結果。
あくまで基準上なので、実際にはブレがあることを忘れずに。
計算上の問題は、等価摩擦係数μの設定です。
0.05~0.35です。
基準書にはこう表に書かれています。
わかります?(笑)
これ、難しいんです選ぶの。
いつも迷います。
0.25が多いかなぁ。
3.落下方向や範囲
これも難しい。
基準書には、直下方向に対して45°の分散角で落下リスクがあることが記されています。
まっすぐ落ちる線に対して右22.5°+左22.5°=合計45°です。
これ、言うのは簡単ですが、実は等高線が複雑な現場では、まっすぐ落ちそうにない地形だったりします。少々の等高線乱れは無視して良いでしょうが、問題なのは明らかな渓流や沢地形があった場合です。この場合の落石落下ルートは、谷地形などの両側制約範囲は真っすぐそのルートで落ち、地形解放された位置から分散角45°を与えるのが良いと思います。
現実+基準書の応用が重要なのです。
そして、設計時には、斜面にある不安定岩塊(落石発生源)の落下が分散角をもっておこり、斜面内に分布する多数のリスクが斜交し合いながら保全対象に影響を与えることを考慮しないといけない。
つまり、代表断面ひとつを取って、最大エネルギーで設計してしまうと、必要のないハイパワーな高エネルギー吸収柵工を全体に張ってしまう恐れがあるのです。
それぞれのリスクを落下範囲で制約し、落石防護柵工の設置範囲に対してどのように落石エネルギーが作用してくるかを総合的に照査しないと、適切な設計にはならないのです。
無論、区間が短ければ構造変える方が設計費や施工手間で割高になります。
これもケースバイケースなのです。
4.跳躍に関して
基準書では2mです。
2mで概ねカバーできる。というもの。
つまり、いくらかはオーバーしていくのです。
そこで、落石防護柵には余裕高を与える基準になっています。
従来型(ストンガード、ポケット式ロックネットなど)なら柵高は1.5倍(余裕長=柵高×0.5)
実験に基づく最近の工法であれば、落石直径の0.5倍以上、0.5m以上など、条件に合わせて設定します。
どれに当たるのか、よく読んで選びましょう。
あとは、地形による落石の異常跳躍。
基準書にも地形の急変化が起こる場合は落石シミュレーションしましょうと記されています。
そう、防護柵設置位置の背後に崖があり、その上部から落石が落ちてくると上を通り抜けていくというリスクです。
シミュレーションで落石跳躍線を出して、カバーできるようにする。
と、言っても、柵高上げるのは限度があるので、地形変化点にポケット式ロックネットを建てるとかしか対処法がないのですが。
(あるいは落石発生源対策の適用)
5.発生源対策の場合でも同じこと
落石発生源対策の場合は、上記の事項を逆に考える。
たとえば、保全対象に影響ある石は、45°分散の範囲。
つまり、道路の落石対策なら、対策工の両端から22.5°で山側へ向かって外側へ線を出し、その範囲に入る落石は対策対象となるということです。
既設のあるいは新設の落石防護柵で跳躍高を満足できないモノを対策するならば、落石シミュレーションで補足できない石をあぶり出す。
このように、
基準書に書かれていることを遵守しながら、応用力、検証力を発揮して設計しないと、落石対策工は正常に履行できないのです。
ほら!
難しいでしょ?
簡単じゃないでしょ??
そう言っているじゃん(笑)
ファンタジーじゃないよ?
さて、皆さんの周りで、
落石対策工なんて簡単だよ!
って言っている技術屋さんが居たとしたら、それは事務設計屋ですね。
事務設計屋って?
モビルスーツのジムではないですよ?
事務的に、設計する人。です。
要するに、現場の不確定要素や不確実性、そんなものは基準書の示したとおり設計してれば許されるんだよ。あるいは誰にもわかりゃしない(あるいは本人も解っていない)んだよ。
という人。
しかし、落石対策検討に真剣に取り組むと、本当にコレでええんかいな?
と思うときもあります。
基準は基準ですので、その通りやれば良いのですが。。。。。
さて、本題の押さえておくべきポイントを示します。
でも、基準書に載っているので、大した話ではないです。
「落石対策便覧 平成29年12月 公益社団法人日本道路協会」
1.落石調査
落石調査、簡単なようで難しい。
平面図がいいのがあると楽なのですが、結構上方斜面へ行くときは図面が無かったりします。
いまは航空レーザー測量図があったりするので楽になりましたが。
それでも、樹木等の影響、急勾配、急崖部が正確には出てない等の問題があります。
これらの問題を踏まえて、「位置」を確実に押さえることが重要です。
最近はカメラにGPS入っているのでそれを100%信じて行動すると異常個所を示されるとOUTです。なので、自分の目でも押さえて、GPSでも押さえて、両方を突き合わせましょう。
あとは、適切な不安定岩塊等のサイズの把握です。
大きさ(質量)が落石エネルギーに直結しますので、慎重に!
可能ならスプレーで番号書いたりして後に解るようにしましょう。
(民地の場合は、ちょっと気を付けてね。トラブルの種になります。)
2.落石エネルギーの算定
落下高max40mとしてエネルギー算定するのは基準に書かれています。
40mを超えると、落石は加速しなくなるという実験?結果。
あくまで基準上なので、実際にはブレがあることを忘れずに。
計算上の問題は、等価摩擦係数μの設定です。
0.05~0.35です。
基準書にはこう表に書かれています。
・硬岩、丸状:凹凸小、立木なし 0.05
・軟岩、角状~丸状:凹凸中~大、立木なし 0.15
・土砂・崖錘、丸状~角状:凹凸小~中、立木なし 0.25
・崖錘・巨礫混り崖錘、角状:凹凸大~中、立木なし~あり 0.35
・軟岩、角状~丸状:凹凸中~大、立木なし 0.15
・土砂・崖錘、丸状~角状:凹凸小~中、立木なし 0.25
・崖錘・巨礫混り崖錘、角状:凹凸大~中、立木なし~あり 0.35
わかります?(笑)
これ、難しいんです選ぶの。
いつも迷います。
0.25が多いかなぁ。
3.落下方向や範囲
これも難しい。
基準書には、直下方向に対して45°の分散角で落下リスクがあることが記されています。
まっすぐ落ちる線に対して右22.5°+左22.5°=合計45°です。
これ、言うのは簡単ですが、実は等高線が複雑な現場では、まっすぐ落ちそうにない地形だったりします。少々の等高線乱れは無視して良いでしょうが、問題なのは明らかな渓流や沢地形があった場合です。この場合の落石落下ルートは、谷地形などの両側制約範囲は真っすぐそのルートで落ち、地形解放された位置から分散角45°を与えるのが良いと思います。
現実+基準書の応用が重要なのです。
そして、設計時には、斜面にある不安定岩塊(落石発生源)の落下が分散角をもっておこり、斜面内に分布する多数のリスクが斜交し合いながら保全対象に影響を与えることを考慮しないといけない。
つまり、代表断面ひとつを取って、最大エネルギーで設計してしまうと、必要のないハイパワーな高エネルギー吸収柵工を全体に張ってしまう恐れがあるのです。
それぞれのリスクを落下範囲で制約し、落石防護柵工の設置範囲に対してどのように落石エネルギーが作用してくるかを総合的に照査しないと、適切な設計にはならないのです。
無論、区間が短ければ構造変える方が設計費や施工手間で割高になります。
これもケースバイケースなのです。
4.跳躍に関して
基準書では2mです。
2mで概ねカバーできる。というもの。
つまり、いくらかはオーバーしていくのです。
そこで、落石防護柵には余裕高を与える基準になっています。
従来型(ストンガード、ポケット式ロックネットなど)なら柵高は1.5倍(余裕長=柵高×0.5)
実験に基づく最近の工法であれば、落石直径の0.5倍以上、0.5m以上など、条件に合わせて設定します。
どれに当たるのか、よく読んで選びましょう。
あとは、地形による落石の異常跳躍。
基準書にも地形の急変化が起こる場合は落石シミュレーションしましょうと記されています。
そう、防護柵設置位置の背後に崖があり、その上部から落石が落ちてくると上を通り抜けていくというリスクです。
シミュレーションで落石跳躍線を出して、カバーできるようにする。
と、言っても、柵高上げるのは限度があるので、地形変化点にポケット式ロックネットを建てるとかしか対処法がないのですが。
(あるいは落石発生源対策の適用)
5.発生源対策の場合でも同じこと
落石発生源対策の場合は、上記の事項を逆に考える。
たとえば、保全対象に影響ある石は、45°分散の範囲。
つまり、道路の落石対策なら、対策工の両端から22.5°で山側へ向かって外側へ線を出し、その範囲に入る落石は対策対象となるということです。
既設のあるいは新設の落石防護柵で跳躍高を満足できないモノを対策するならば、落石シミュレーションで補足できない石をあぶり出す。
このように、
基準書に書かれていることを遵守しながら、応用力、検証力を発揮して設計しないと、落石対策工は正常に履行できないのです。
ほら!
難しいでしょ?
簡単じゃないでしょ??
そう言っているじゃん(笑)
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