道路にスプレーで多様な線や文字、絵が描かれているのを見たことがないですか?
 足元は見ないって?
 そうですね、小銭落ちてないか足元ばかり見てしまう私はヤバイですね(笑)

 冗談はさておき、写真のように落書き?がたくさんあるのを目にすることはあると思います。
 これは、地下埋設物の状況を書き込んでいるのです。
 測量の基準点や、横断ナンバー等のマーキングや鋲とは明らかに異なるものです。
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 大きく分けて、机上調査(ガス屋さんや、市町村の上下水道課などで台帳調査)の結果を現地に落としているものと、例えばレーダー探知機での結果等を踏まえての確定位置の落とし込みがあります。
 つまり、資料上であるとされている情報と、実際に確かめた情報の場合があるので、単純に見ただけでは解りません。
 後者の、実際に確かめた情報については、レーダーのほか、実際に試掘をすることが多いです。
 試掘は、既往資料の精度が低い場合に行います。昔の管路は、台帳に載せる際に既に位置不明なことがあって、概略な場合が多いのです。
 最近の埋設管は、CADで整理され、非常に精度が高くなっていますが、昔の管は手書きの図面等からの落とし込みなので、位置がざっくりしているのです。
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 上の写真の奥にも見えますが、試掘跡がよくわかる写真がありましたので添付します。
 道路の片車線の中央に、L字にアスファルトが新調された範囲があります。
 カッターで切って、その中を掘削し復旧した跡です。そう試掘跡です。
 ここを掘って、手前に見えるスプレー線を入れた。
 径〇〇の管が、深度〇mにある。
 という明示ができます。
 つまり、目で直接見た確定情報に基づくマーキングです。
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 3枚の写真を良く見ていくと、所々、同様の試掘跡が見られると思います。
 こんな感じで、管の位置や径等を確定し、落とし込みしているのです。

 設計業務では、この情報をCAD上に入力して、道路改良や区画整理等による道路振り替えや位置変更による埋設管の布設替え計画を立案するのです。
 そして、実際の施工時には、このマーキングを見ながら、慎重に掘削したり旧管を撤去したりするのです。

 一番やっかいなのは、現状の管は触らずに、新しい管を間を縫って入れる時です。
 例えば、都市部では、既に多種多様な管が埋設されており、その間を縫う場合は、開削では困難となるため、推進工法での対応を迫られます。
 そのような状況下での既設管の老朽化対策のケースでは、開削できない(旧管撤去できない)ので管更生工法で既設管内だけで補強、長寿命化対策ができる工法が多数開発されています。
 
 奥が深いのですよ、埋設管ひとつとっても。
 土木技術(他の技術もそうでしょう)の世界は専門分野の奥行きが大きいので、全てを網羅することは困難です。

 そのような背景から、建設コンサルタントでもそれぞれの部門や係によって縦割りの技術対応が求められているわけです。
 専門技術者を横につないで、総合力を形成しているのです。
 結局は、人が形成する技術力ですので、個々の成長も大きく関係します。
 皆さんも、技術力向上に努めてくださいね。

 道路の線から、こんな話にもってくるとは!?
 面白いですね。