我が国の国土は斜面(山地~中山間地)ばっかりです。国土の7割を占めます。
 ですので、斜面防災というカテゴリーの仕事は絶えないわけです。

 しかも、景観面で配慮が必要な公園や史跡等の斜面も例外なく崩れたり壊れたりします。
 そんな時は可能な限り景観へ与える問題を小さくしなければなりません。
 ただ、公共事業ですのでコストをミニマムにしていかねばならず、完全に元通りの景観にするのは難しく、コストを抑えつつ、その施設の価値とどこ迄景観を重視するかのトレードオフになってきます。
 そんな難しい検討をしながら、発注者(官公庁)の意思や要望も踏まえて最終の対策工を設計することになります。
 私が設計した現場の事例を示しますが、完全に元通りではなく、目立たなくしつつ施設の利用者へ危害が及ばないよう対策する、といった感じでしょうか。
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(公園のバスケットコート裏の斜面崩壊対策。アンカー付きネット覆い工)
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(参考:上写真の対策前の状況。ボロボロと岩盤急崖が崩落しています)
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(史跡の通路沿い斜面の斜面崩壊対策。切土補強土工の一種で鋼材併用の鉄筋挿入工)
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(参考:上写真の対策前の状況。岩盤からの崩落をシートで覆ってます。観光客が通る重要通路です)

 写真を見てお解りのとおり、景観へのウェイトを上げてくると製品による対策が主になります。  
 従来工法でいくと、結局のところコンクリート構造物での斜面保護、防護工になるので、当然といえば当然の結果です。

 ここで問題となるのが、製品は結構な数が存在するということです。
 現場にフィットしそうな工法、製品を調べてきて一次選定により候補を絞り、
 その後、3案程度の有力工法を概略検討したうえで工法比較検討をして、その結果で採用工法が決定されます。メーカーでないと解らない部分もあり、製品同士の比較検討になるとメーカーヒアリング、勉強、打ち合わせ、構造検討、資料作成をグルグル回して業務を進めなければならないので、意外と大変な仕事になります。
 景観面を考慮、という特殊条件が加わるので、大変なのは当たりまえのことなんですがね。