「落石防護柵の柵高決定は難しい」

 落石対策工は、主に「落石対策便覧 平成29年12月」に基づいて設計されますが、落石防護柵工を検討する際に特に注意しないとならない事項があります。
 それは、柵高の設定です。

 「落石対策便覧」によると、落石防護柵の柵高については、落石跳躍高さを2mに設定するとされており、これについてはよく知られたことです。そして、この跳躍高さに余裕高を足して最終的な柵高となるわけですが、ここからがややこしいのです。

 落石対策便覧によると、「落石衝突高に落石半径以上、かつ少なくとも0.5m程度の余裕高を設けるのがよい。」と記述されています。落石衝突高は前述の2mですので、最低でも2.5mとなります。
 かつ落石が例えば1.5mの大きさとしますと、その半径は0.75mとなりますので、2+0.75=2.75mとなり、最終的な柵高決定は2.75m以上となります。
 これまでですとシンプルなのですが、ことをややこしくするのが続き文です。
 
 「従来型の落石防護柵のような構造では、落石が柵天端付近に衝突した場合、支柱の傾斜や落石の回転等により策を飛び越す現象も考えられるので、落石衝突高に対して最低柵高の1/2程度の余裕高を設けるのがよい」
 と記載されています。つまり、落石衝突高2m+余裕高(2m×1/2=1m)=3mとなります。
 同じ落石に対して、従来型と、最近の製品で異なる設定をしなければならないのですが、意外とスルーされているかも知れません。
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 (従来型の落石防護柵=ストンガード∔重力式コンクリート擁壁基礎工)
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(新技術として開発されている最近の落石防護柵工/インパクトバリア)

 もう一点、落石防護柵工(基礎擁壁タイプ)の計算について、上部工(柵本体)は飛来する落石エネルギーで照査して構造決定するのですが、下部工(基礎擁壁工)については柵構造体のうち、支柱が塑性ヒンジを形成する時のエネルギーを与えて安定計算を行います。
 なんか矛盾しているところがあるんですが、そのようになっております。
 上部工は実際の飛来落石エネルギーで、下部工は柵構造体の最大エネルギー相当で照査する。
 ということになります。

 その理由としては、「落石防護柵の基礎工は、支柱が破壊するまで耐えられる構造でなければならない」というもので、安全側の構造検討思想となっています。
 一方で、近年の新型柵工等では、基礎部分の検討も飛来する落石エネルギーでの計算が主流です。

 この結果、工法比較検討においては、異なった条件での比較があることに留意が必要となります。
 専門としている技術者は知っている話ですが、専門外で、たまたま付帯工として落石防護柵工を検討する機会が生じた際は気が付きにくい事項なのです。
 不安に思う作業や検討は、専門技術者に依頼するのが安全で、スピーディです。

 余談ですが、
 時間をお金で買う、ではないですけれども専門外の作業で苦しむ時間を外注で減らし、得意な作業を多量にこなした方が効率的です。働き方改革の手助けにもなるでしょう。
 また、外注に出して教えてもらう、納品された成果から技術を得る方法もあるでしょう。
 外注することは悪では無く、戦略的に活用すべき手法のひとつであると思います。
 
 上岡地盤防災が得意とする分野であれば、お気軽にご相談ください。

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