「強風化岩法面への植生工」

 土砂災害対策や斜面防災設計にかかわらず、法面工が出現する対象では植生工の採用が多くなります。
 道路土工設計でも多いでしょう。

 グレード的には、ザクっと言うと次のとおり。

 ・種子散布工
 ・植生シート工
 ・植生マット工
 ・植生基材吹付工
 ・覆土工+上記の植生工何か
 ・土壌基盤覆工(法枠みたいな基盤工類)+上記の植生工何か


 上から下へ、植生工の性能(能力)が高くなります。

 当然ながら、切土法面と盛土法面では選択肢は変わります。
 盛土法面なんかでは、一回崩したり解したりした土なので、種子散布やシート工で対応されるのが普通です。植生基材吹付とかは、まず選択されないでしょう。
 一方の切土法面だと、その法面のコンディションに主眼をおいて選択されます。
 主として切土勾配、土壌硬度なんかでセレクトされるでしょう。

 柔らかい法面ほど、性能の低い植生工で植生が期待できます。
 一方で軟岩などを緑化する場合は厚めの植生基材吹付工が必要です。
 中硬岩以上での植生基材吹付工では失敗してハゲハゲになっている道路法面をよく見ます。
 中硬岩以上では、もう、緑化は諦めて、コンクリート系吹付による風化防止一択でいいと思います。
 だって、植生を維持する土壌がないんだもの。
 そりゃ、無理だって。
 要するに、根を長期に渡り張り続けられるのか?という部分が生命線だと思います。 

 そんな感じで、明らかに硬い岩盤では植生を諦められるのですが、厄介なのが強風化岩レベルの岩盤を対象とする時です。
 実態としては、柔らかいのです。
 法面表面が。

 ですが、腐っても岩。
 土中(岩組織中)に空隙が少ないのです。
 イメージとしてビッシリと詰まっているって感じ。
 柔らかいんだけれども、一択崩れたり解したりした土とは全く様相が違う。
 水や空気の入る隙間がないってこと。

 何が言いたいか?
 植生が活着できる地盤ではない。
 そう言いたい。

 先日、とある公園で見てきた法面なのですが、植生ネット?(シートとマットの中間製品)で緑化しようとした法面が、ハゲハゲになっているのを見ました。
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 強風化岩です。
 土砂化しつつありますので、D級。そうDL級くらいでしょう。
 非常に柔らかいです。
 苔が生えているので、ジメジメしている感じでしょうか?
 桜の木の真下なので、そうなのかも知れません。
 もちろん、日当たりの都合もあるでしょう。
 日が当たればいいって訳でもなく、その逆もしかり。

 ですが、土(強風化岩)自体が詰まっているから植物の根が育たない。
 水分も酸素も絶対量が少ない。
 無いわけではないのだが。。。

 同じ公園内でもう二か所。 
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 どちらも、植生は活着していません。
 日当たりが良い場所であることもマイナスでしょう。
 保水できない。
 すぐにカラカラになる。

 根が入りにくい地質(土質)で、かつ保水しない。
 酸素や水が土中に少ないってイメージ。
 そのうえ、毎日、日照りに晒されるとなると。。。。

 そりゃ緑化は無理です。

 じゃぁどうする?!
 そうですね、私なら。。。。
 厚めの植生基材吹付工を選択するでしょう。
 土砂ならt=3cmなんですが、軟岩レベルを対象にしたt=5cmを選択するでしょう。
 植生工のフローでなんとか持って行ける工法だと思います。
 それでも、長期間の植生維持はしんどいかもしれませんね。

 勾配を緩く設定して、10cmほどの覆土をして、その上に植生シートがグッドかも知れません。
 覆土する材料は、どっかの土壌であることが望ましい。
 有機物を含んでいる土ね。
 在来種を回復する目的で、近所の表土を剥いで持ってくることもありますよ。

 たかが、植生工ですが、かなり難しいのですよ。
 ちゃんと、植生が維持されることを思案して計画するとなると。。。です。
 基準書のフローでちゃちゃっと決めるのが楽なんですよね。
 確かに植生工のフローでいくと強風化岩のように軟質な法面は植生シートやマットでいいってなる。
 だから写真のような状態になっちゃうんだろうね。

 ちなみに、強風化岩なので土砂フローで見ることが多いでしょう。
 風化岩と強風化岩の境界は?って話も出ちゃうから難しいけどね。
 風化岩はCL級あたり。つまり軟岩扱い。
 強風化岩はⅮ級とみて、土砂扱い。
 これは土工区分と近似しているとみていい。
 強風化岩の土工区分は土砂でいいでしょ?
 CL級岩盤は軟岩で土工区分される。
 だから、強風化岩は植生工のフローでも土砂扱いにするのが妥当と思います。
 これ、筋は通っているでしょ。
 土壌硬度で見ても、そんな感じに落ち着くのではないかと思います。

 そして、一番のネックは、最初からグレードの高い植生工を入れるとオーバースペックじゃないのか?って言われること。
 植生工のフローで、できるだけ高いグレードの植生工に辿り着くように工夫はするのですが、それでもグレードが足りないことも多々あります。
 1回、緑化を失敗しないと、高いグレードの植生工は入れにくいのも事実。
 やっかいな習慣です。

 植生工なんて雑工だよ!
 なんて、思わないようにね。