「斜面崩壊防止対策工の設計」
土砂災害防止対策のひとつである斜面崩壊対策についてです。
斜面崩壊防止対策工の設計について概略的、かつポイントを押さえつつ説明します。
これは、道路法面の崩壊防止対策についても同じです。
斜面か、法面かの違いです。
・斜面:自然の斜面
・法面:人工の斜面(構造物の有無を問わない)
■大まかな設計手順
設計の手順について列記します。
あくまで、私がよくやる流れです。
・既往資料調査
・現地踏査
・崩壊機構の想定(現状安定解析をする場合あり)
・基本条件の整理
・対策工法の比較検討
・構造計算
・施工方法ならびに仮設計画案
・図面ならびに数量計算書
■既往資料調査
既往の資料を整理します。
測量や地質調査のデータもあるでしょう。
あるいは点検結果や道路防災点検カルテなども。
それらを一通り目を通し、重要と思われる部分を抜粋して整理します。
設計に必要と思われる重要部分となるはずです。
これは報告書に入れます。
■現地踏査
既往資料の整理結果を踏まえて地形図や測量平面図などを持って現場調査に向かいます。
電柱・架空線や地下埋設物などの支障物件を把握します。
必要に応じてインフラ事業者へ照会に行く必要があります。
これは下請けがする(行く)作業では無いですけれどもね。
あとはメインとなる斜面あるいは法面の状況を肌で感じること。
着目されている範囲より少し広めに斜面内を歩いて状況を把握する。
斜面あるいは法面内のコンディションで、概ね何をしなければならないかは解ると思います。
既往資料+現地踏査(調査)段階で、概ねゴールイメージが見えていることが理想的です。
■崩壊機構の想定(機構解析)
地質調査結果などから地質断面図を引用し、そこへ現地の状況等を加味して崩壊機構を想定します。
変状の兆候があるなら、それに合った機構想定を。
無いなら可能性が高い機構想定を行います。
変状等の「素因」「誘因」を明確にしておきます。
・素因:変状の原因となる地質や地形などの状況
・誘因:変状を引き起こす豪雨などの現象
ここで、現状の断面形状における安定解析を実施して必要(不足)抑止力を把握したりする場合もあります。逆解析により定数を設定することも求められる場合もあるでしょう。
業務の内容によって、中身は少しずつ変わっていきます。
■設計条件の整理
設計条件の設定とか、基本条件の整理とか、微妙に違った言い方をされますが、中身は同じです。
対象、目的などを明示し、制約条件などを整理します。
使用する基準書なども示し、解析や設計方針もできるだけ具体的に示します。
例えば現状安全率や計画安全率などの基本的な考え方や、安定解析の方針などです。
土質定数や構造条件(常時、地震時、仮設時など許容値の取り方など)も示したりします。
あとは施工制約条件や架空線ならびに用地条件など単純な技術面とは異なる条件も明示必要ですね。
ここで細かく書くためには、前章までに現地踏査から解ること、機構解析である程度の条件は決まって(決めて)ないと書けないですよね。
そういったことも踏まえ、設計条件の整理の前にある程度の作業を先行しておく必要があると思います。
■対策工法の比較検討
対策工の比較検討の前段には、これまでの条件設定で考えられる対策工案の抽出が必要です。
ある程度の工法を絞って類似工法で比較するか?
それとも全く異なった工法で比較するか?
あるいは、工法を絞る比較 ⇒類似工法の優劣比較 とするか?
様々です。
もちろん、作業量が全然異なります。
仕様に合致する、あるいは作業に合致する仕様に変更する等の調整が必須です。
ただ、現場の状況で、ある程度工法は限られるはずです。
ですので、概ね類似工法での戦いになるのではないかと思います。
そのうえで、様々な視点で工法を比較検討します。
その成果は比較検討一覧表として整理されます。
比較の着目点としては以下のような項目がありますが、必要に応じて選択されます。
・施工性
・維持管理
・景観
・施工時の影響
・コスト
比較一覧表に、〇△×とかで優劣を表現します。
時々、数字で表現される方も居ますが、なかなかシビアなので、私は避けています。
〇△×なら3段階なのですが、例えば10点満点で評価しようとすると、1点1点の差が明確なエビデンスを持って表現できないと思うのです。1点差、2点差、何の差って考え出すと、アタマが割れます(笑)。
どのみち、感覚的な評価なので、3段階ぐらいまででしょ?
適正に割れるとしたならば。。。。。
そう、思う次第です。
■構造計算
ここから詳細設計段階ですが、比較検討で採用した工法を煮詰めていきます。
比較検討の段階で、既に概略構造計算は実施済みな場合が多いです。
よって、断面が変わらない、条件が変わらないであれば、構造計算はほぼ終わっていると思っていいです。
ただし、副測線などの追加構造計算は必要になるかも知れません。
また、主工法の他に安定計算などを必要とする小構造物も発生するかも知れません。
過不足が無いように構造計算を行います。
もちろん、新たに生じた必要な作業は仕様変更してもらわないとならないでしょう。
慈善事業では無いので、そのへんは大事になってきます。
報告書には次のことを整理しますよ。
(前段の安定解析においても同様に報告書へ整理が要ります)
・定数などの選択値と根拠
・構造設定と手法の根拠
・計算結果一覧表
など、実施する構造計算によって変える必要はあります。
なお、ここでいう根拠は、基準書等の抜粋などです。
基準書に、こう示されているので、コレを使います。というような書き方。
■施工方法ならびに仮設計画案
ここが皆さん苦手です。
まぁ、私も好きでは無いです。
どうしても建コン技術者は施工面で苦手意識が強いです。
そりゃ当然。現場施工に携わってないのだから。
やったこと無い事を図にしたりするのだから、そりゃ大変ですよ。
何でも出来るスーパーマンなんて居ないですよ。
だけども頑張ってやる。
クレーンでの搬入図や使用機器の重量との対比など、工事の施工計画程は詳細でなくとも良いのですが、少なくとも施工が可能だという事の証明?ができるような資料が必要です。
そして、それに必要な仮設構造物の計画と。
仮設防護柵が必要であれば、その構造計算と計画図、数量が要ります。
もちろん、これに基づいて発注者(事業者)の工事積算書にも影響します。
必要なものは積算に積んでなかったらおかしいですから。
でも、言うは易し。。。。。です。
■図面ならびに数量計算書
ここまできたなら。
あとはCAD製図要領、数量算出要領などに基づいて図面ならびに数量計算書を作成です。
電子納品のDISK1には元請けさんの方で整理する必要がありますが、協力会社で作業する場合でもCAD製図要領に極力沿って作図します。
CADのユーティリティソフトで一気に変換や変更ができるので、ある程度沿っていればなんとかなる。そう勝手に思っています。
タイトルボックスの中身などは揃えてって言われますけどね。。。。。
そりゃ、そうか。
手順は以上です。
どうですか?
結構、大変な作業でしょ?
自然の山を相手にするのでファジーなんです。
ケースバイケースってやつ。
ほんと大変。
だから、私みたいな専門技術者(エンジニア)が居る(要る)んですよね。
話がまとまった?
よかった~
土砂災害防止対策のひとつである斜面崩壊対策についてです。
斜面崩壊防止対策工の設計について概略的、かつポイントを押さえつつ説明します。
これは、道路法面の崩壊防止対策についても同じです。
斜面か、法面かの違いです。
・斜面:自然の斜面
・法面:人工の斜面(構造物の有無を問わない)
■大まかな設計手順
設計の手順について列記します。
あくまで、私がよくやる流れです。
・既往資料調査
・現地踏査
・崩壊機構の想定(現状安定解析をする場合あり)
・基本条件の整理
・対策工法の比較検討
・構造計算
・施工方法ならびに仮設計画案
・図面ならびに数量計算書
■既往資料調査
既往の資料を整理します。
測量や地質調査のデータもあるでしょう。
あるいは点検結果や道路防災点検カルテなども。
それらを一通り目を通し、重要と思われる部分を抜粋して整理します。
設計に必要と思われる重要部分となるはずです。
これは報告書に入れます。
■現地踏査
既往資料の整理結果を踏まえて地形図や測量平面図などを持って現場調査に向かいます。
電柱・架空線や地下埋設物などの支障物件を把握します。
必要に応じてインフラ事業者へ照会に行く必要があります。
これは下請けがする(行く)作業では無いですけれどもね。
あとはメインとなる斜面あるいは法面の状況を肌で感じること。
着目されている範囲より少し広めに斜面内を歩いて状況を把握する。
斜面あるいは法面内のコンディションで、概ね何をしなければならないかは解ると思います。
既往資料+現地踏査(調査)段階で、概ねゴールイメージが見えていることが理想的です。
■崩壊機構の想定(機構解析)
地質調査結果などから地質断面図を引用し、そこへ現地の状況等を加味して崩壊機構を想定します。
変状の兆候があるなら、それに合った機構想定を。
無いなら可能性が高い機構想定を行います。
変状等の「素因」「誘因」を明確にしておきます。
・素因:変状の原因となる地質や地形などの状況
・誘因:変状を引き起こす豪雨などの現象
ここで、現状の断面形状における安定解析を実施して必要(不足)抑止力を把握したりする場合もあります。逆解析により定数を設定することも求められる場合もあるでしょう。
業務の内容によって、中身は少しずつ変わっていきます。
■設計条件の整理
設計条件の設定とか、基本条件の整理とか、微妙に違った言い方をされますが、中身は同じです。
対象、目的などを明示し、制約条件などを整理します。
使用する基準書なども示し、解析や設計方針もできるだけ具体的に示します。
例えば現状安全率や計画安全率などの基本的な考え方や、安定解析の方針などです。
土質定数や構造条件(常時、地震時、仮設時など許容値の取り方など)も示したりします。
あとは施工制約条件や架空線ならびに用地条件など単純な技術面とは異なる条件も明示必要ですね。
ここで細かく書くためには、前章までに現地踏査から解ること、機構解析である程度の条件は決まって(決めて)ないと書けないですよね。
そういったことも踏まえ、設計条件の整理の前にある程度の作業を先行しておく必要があると思います。
■対策工法の比較検討
対策工の比較検討の前段には、これまでの条件設定で考えられる対策工案の抽出が必要です。
ある程度の工法を絞って類似工法で比較するか?
それとも全く異なった工法で比較するか?
あるいは、工法を絞る比較 ⇒類似工法の優劣比較 とするか?
様々です。
もちろん、作業量が全然異なります。
仕様に合致する、あるいは作業に合致する仕様に変更する等の調整が必須です。
ただ、現場の状況で、ある程度工法は限られるはずです。
ですので、概ね類似工法での戦いになるのではないかと思います。
そのうえで、様々な視点で工法を比較検討します。
その成果は比較検討一覧表として整理されます。
比較の着目点としては以下のような項目がありますが、必要に応じて選択されます。
・施工性
・維持管理
・景観
・施工時の影響
・コスト
比較一覧表に、〇△×とかで優劣を表現します。
時々、数字で表現される方も居ますが、なかなかシビアなので、私は避けています。
〇△×なら3段階なのですが、例えば10点満点で評価しようとすると、1点1点の差が明確なエビデンスを持って表現できないと思うのです。1点差、2点差、何の差って考え出すと、アタマが割れます(笑)。
どのみち、感覚的な評価なので、3段階ぐらいまででしょ?
適正に割れるとしたならば。。。。。
そう、思う次第です。
■構造計算
ここから詳細設計段階ですが、比較検討で採用した工法を煮詰めていきます。
比較検討の段階で、既に概略構造計算は実施済みな場合が多いです。
よって、断面が変わらない、条件が変わらないであれば、構造計算はほぼ終わっていると思っていいです。
ただし、副測線などの追加構造計算は必要になるかも知れません。
また、主工法の他に安定計算などを必要とする小構造物も発生するかも知れません。
過不足が無いように構造計算を行います。
もちろん、新たに生じた必要な作業は仕様変更してもらわないとならないでしょう。
慈善事業では無いので、そのへんは大事になってきます。
報告書には次のことを整理しますよ。
(前段の安定解析においても同様に報告書へ整理が要ります)
・定数などの選択値と根拠
・構造設定と手法の根拠
・計算結果一覧表
など、実施する構造計算によって変える必要はあります。
なお、ここでいう根拠は、基準書等の抜粋などです。
基準書に、こう示されているので、コレを使います。というような書き方。
■施工方法ならびに仮設計画案
ここが皆さん苦手です。
まぁ、私も好きでは無いです。
どうしても建コン技術者は施工面で苦手意識が強いです。
そりゃ当然。現場施工に携わってないのだから。
やったこと無い事を図にしたりするのだから、そりゃ大変ですよ。
何でも出来るスーパーマンなんて居ないですよ。
だけども頑張ってやる。
クレーンでの搬入図や使用機器の重量との対比など、工事の施工計画程は詳細でなくとも良いのですが、少なくとも施工が可能だという事の証明?ができるような資料が必要です。
そして、それに必要な仮設構造物の計画と。
仮設防護柵が必要であれば、その構造計算と計画図、数量が要ります。
もちろん、これに基づいて発注者(事業者)の工事積算書にも影響します。
必要なものは積算に積んでなかったらおかしいですから。
でも、言うは易し。。。。。です。
■図面ならびに数量計算書
ここまできたなら。
あとはCAD製図要領、数量算出要領などに基づいて図面ならびに数量計算書を作成です。
電子納品のDISK1には元請けさんの方で整理する必要がありますが、協力会社で作業する場合でもCAD製図要領に極力沿って作図します。
CADのユーティリティソフトで一気に変換や変更ができるので、ある程度沿っていればなんとかなる。そう勝手に思っています。
タイトルボックスの中身などは揃えてって言われますけどね。。。。。
そりゃ、そうか。
手順は以上です。
どうですか?
結構、大変な作業でしょ?
自然の山を相手にするのでファジーなんです。
ケースバイケースってやつ。
ほんと大変。
だから、私みたいな専門技術者(エンジニア)が居る(要る)んですよね。
話がまとまった?
よかった~
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