「樹木が落石を発生させる」

■はじめに

 斜面にある樹木が落石を発生させることがあります。

 樹木の根が張っている範囲に転石や亀裂の発達した岩盤などがあるとリスクがあります。  
 樹木は成長する過程で幹や根を伸ばしていきます。  
 それは、土中の転石を抱き込んだり、岩盤面を根が伝って亀裂を押し広げたりします。

 樹木と転石あるいは分離岩盤があったりすると、それは落石の素因として十分でしょう。
 そして、根の成長や樹木の枯れ死による拘束力の低下は落石の誘因になります。  
 さらに、防風や地震で木が揺れることで落石を発生させる誘因を増幅させることになります。

 そんなことで、樹木と転石、浮石などのセットは要注意なのです。

■樹木と浮石・分離岩塊のセットの事例

 わかりやすい事例を先月、和歌山現場調査出張の宿の近くで見つけました。
 これです。
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 わかりますか?
 樹木の根が岩塊(岩片)を抱いています。
 恐らく、成長の過程で根が取り込んだものが浮き上がってきているのです。
 やがて落下するでしょう。
 しかし、ウバメガシだと思われますが、見事に根が岩盤に貫入していっています。
 樹木自体が成長し、その重さに耐えられなくなりつつあります。
 典型的な樹木が落石や岩盤崩壊(規模は大小さまざま)を発生させる事例です。

■もっと細かくみてみよう

 根が岩片を抱いているところをアップで撮ったものです。
 見事に挟み込んでいますね。。。。
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 正面から見ただけだと、抱き込まれた岩塊が落ちそう!ってことに着目しますが。
 この場所、実は、もっとリスクの高い状態なのです。
 そう、横に回ってみましょう。
 どうですか??
 樹木が崖から剥がれそうになっています。
 しかも、かなりの岩塊や岩片を引き連れています。
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 かなり危険な状態とも言えます。

■この場所の実際のリスクは?

 落石のエネルギーは、高さ、落下(斜面)傾斜、落石重量に支配されます。
 細かく言うと等価摩擦係数で変化しますが、僅かですのでここでは抜きにします。
 
 その視点でこの場所を見て見ると。。。。。
 高さ1~2m。
 傾斜は直。
 落石重量は50cm未満。
 と、なると、エネルギーは小さいです。

 道路防災などで問題となるのは、落下高さ10m以上、落石の規模が50cm以上などのものになります。
 もちろん、小石が人に当たっても重大な事故になり得るので気は抜けませんが。。。。

 そんなことで、この場所は危険な状態なのだけれど、ひとまずは近づかなければ危険はないと言えます。
 斜面が樹木の後ろでピークを迎え、もう斜面が無い事も重要なポイントです。
 つまり、波及崩壊の恐れが小さい状況になるからです。
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 実際のところ、10cm角くらいの小石がたくさん落ちています。
 そして、コーンとバーで立ち入りを規制しています。
 誰が見ても危なそうなので、近づかない状況です。

 これなら、ひとまず、リスクは小さいというふうにみなせますね。
 これが、公共の道路沿いとかですと、ちょっと問題ですがね。

 ただし!このウバメガシと思われる樹木、けっこう大きい!
 これが倒れてきたら??
 相当に危険です!
 早めに樹木を伐採されることを推奨する場所だと言えるでしょう。


 樹木と落石、これは斜面内ではたっくさんある厄介な組み合わせなのですよ。
 でも、覚えておいても、一般の人には恩恵は無いかも。。。。