「斜面における複数断面での安定解析」

 これを例に、建設コンサルタント会社の技術者の苦悩を代弁しようと思った。
 私は、建設コンサルタント「社員」を卒業したから言える(笑)
 今は個人事業主で建コン下請けなのだ(笑)

■はじめに

 同一地区、例えば「〇〇急傾斜地」「〇〇工区」など、ひとつの業務あるいは工事区において複数の検討断面が存在する場合。一つの山であったり、谷で別れていたりとシチュエーションは様々であろうけれども近接あるいは連続した斜面に複数の検討断面があるという話です。

 具体的には、一つの法面でも土質構成や断面形状の変化などで複数で検討しなければならない場合。
 あるいは、法面区間長が長く、地質分布、土質状態などが変化する可能性がある場合もそうでしょう。

 そんな時、あなたはどうします?
 どうするって?質問がザッパ過ぎますね(笑)
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 こんな解析行うときです。
 ちなみに、これは、五大開発さんの「補強土」を計算している際の画面です。
 私が、結構使う頻度の多いソフトですね。
 まぁ、まぁ、高いです(笑)
 笑いごとではない個人事業主にはデカイ金額っす(笑)
 しかし必要なんです。高くても。
 メシ代を稼ぐための武器ですからね構造計算ソフトは。


 話が逸れましたが、
 そう、こんな感じの安定解析(対策工を検討するために)する場合、各測線で、土質定数などをどうしますか?って話。
 概ね、二つの手法がありますよね。

 ①土質定数は、区間、区域で同一とする。
  すなわち、安全率が断面毎に変化する。

 ②土質定数は、主たる定数を固定し、粘着力c、あるいは内部摩擦角φを逆算で設定する。
  その際に、各断面において現状安全率を0.95、0.98、1.00,1.05などに固定する。
  つまり、いずれかの土質定数は断面毎に異なることになる。

 どうです?
 概ね、この2つでしょう?
 だんだん私の言いたいことが解ってきました??

 どっちも正しいですよね。
 筋は通っています。
 でも、それぞれ、筋の通し方違います。

■土質定数を区域、区間で統一するケース

 これは、全断面を一旦、現象安全率を固定して解析し、粘着力cあるいは内部摩擦角φを求め、それぞれ一覧としたうえで、最大値を採用する方法です。

 どうなるの?

 最も危険な断面が最初に設定した現状安全率に合致します。
 そのほかの断面は、土質強度が上がりますので、安全率は最初の現状安全率より高くなります。
 そう、土質定数を固定して安全率がバラつくのです。

 周辺の土質は同じ定数。地形や土質層厚等によって安全率は変わってくるよって事。
 場合によっては安全率が目標とする計画安全率より高い値を示す可能性もある。
 つまり、その断面は、対策不要って判断となる。
 これは、別におかしくない。
 筋が通っています。

■現状安全率を固定し、土質定数は未知数のひとつで調整するケース

 これは、現状安全率は、どの斜面も同じって前提です。
 どの斜面も、崩壊しそうな不安定な状況であると判断し、最小となる安全率で固定して安全側の検討を目指す方法です。
 このため、現状安全率を一定に保つために何れかの定数を変化させ合致させることになります。

 この方法も、筋は通っています。
 少なくとも、現地踏査(調査)によって、いずれも箇所(区間内の)も対策が必要であると判断し、そのうえで安定解析をしているのであれば、この後に及んで対策不要の判断が生じてくるのはオカシイです。
 つまり、その矛盾を生じさせないために、現状安全率を揃えて区間内の複数断面をモデル化するのです。
 
 私は、どちらかと言うと、こっちの方法が好きです。
 シンプルですから。

■どっちだっていい理論武装ができれば

 さて、どっち使う?
 どっちだっていい。
 究極の話、筋が通っていればいい。
 理論的に武装できればいいのです。
 どっちが正しいって断言する人は、周りや足元を見失いかけていないかい??
 異なる考えを受け入れ、頭の中で消化するクセを付けないと、やがて限界がくるよ。
 人って、そんなに賢くないから。
 様々な論理や情報、他人の考えを受け入れ、頭の中で噛み砕けるようにならないと、すぐに限界がくる。成長の頭打ちってやつね。

 気を付けよう、私も(笑)

■手法を選択して理論武装するのが建設コンサルタントの仕事

 2つの手法を例に、複数断面時の解析の方法を議論?しましたが、どうでしたか?
 結局、手法を選択し、その根拠を付けるのが建設コンサルタントの技術者の仕事なんだ。

 〇〇さんが、こうしろと言ったから。。。。。
 去年の〇〇さんの類似成果で、こうしてたから。。。。。
 
 そんなのは、建設コンサルタントの技術者ではない。そう思う。

 思案しろ。
 悩め。
 決めつけるな。
 「〇〇さん」の意見や事例は参考であり答えではない!
 「過去の事例」はその時のシチュエーションで最適化されたモノだ。
 本当に、今、君の現場で、それでいいのか?
 社内を納得させても発注者を納得させなけきゃ意味はない。
 苦しんで出した答えにこそ、価値がある!


 ・・・・・・。
 技術者として、また、成長できたな。
 よかったな。
 まだまだ、頑張れるよ。
 ファイト!

 ほいたら、私も頑張るよ。


 【関連記事(斜面の安定計算における現状安全率)】
 >>斜面の安定計算における現状安全率の設定の方法(問題はシチュエーション)